Shopify公式は、Stockyを2026年8月31日以降利用できないと案内しています。また、Stockyで作成・管理していた発注書や棚卸しなどの履歴データは、Shopify管理画面へ自動移行されません。確認日:2026年9月4日。
このため、移行の完了条件を「商品別の在庫数がShopifyにあること」だけに置くと不十分です。少なくとも、次の一連の業務を、次回の発注で実行できる状態にします。
Stockyの利用目的は同一とは限りません。棚卸し時のバーコード読取を重視していたケースもあれば、発注予測や仕入先別の発注管理を中心に使っていたケースもあります。したがって、「Stocky代替アプリ」を先に選ぶのではなく、現在の仕事を上の単位に分解してから判断します。
移行日の直前に全機能を置き換えようとせず、「次回発注を出せる」「到着済み商品を正しく受け入れられる」を最初の復旧目標にします。発注予測や帳票の自動化は、その後に比較しても構いません。
Shopify管理画面では発注書(Purchase orders)を作成・管理できます。発注書には、仕入先、商品、数量、原価、支払条件などを記録できます。発注した発注書から在庫Transfersを作成し、入荷と原価調整を追跡する運用が案内されています。仕様確認日:2026年9月4日。
ここで重要なのは、発注書とTransfersを同じものとして扱わないことです。
発注書で管理する中心情報は、仕入先への注文内容です。移行後も残したい項目は、少なくとも次のとおりです。
既存のStocky発注書を参照する必要がある場合、旧データを先に保存します。すべてを新しい発注書へ再入力する必要はありませんが、未完了の発注については、発注残・到着予定・取消可否を新しい運用台帳に載せないと、二重発注や入荷漏れを判断しにくくなります。
Transfersは、仕入先からロケーションへの入荷、またはロケーション間の在庫移動を扱うための記録です。Shopify公式は、複数回に分かれた受け入れ、バーコードスキャン、CSVによるバリエーションの一括追加に対応すると案内しています。仕様確認日:2026年9月4日。
例えば、100点を発注し、60点だけ先に届いた場合は、60点を受け入れ、残り40点は未受入として追跡します。数量が発注内容と異なるときも、受入数量と差異理由を確認する担当を決めます。
ただし、発注書の作成だけでは入荷処理は完了しません。逆に、Transfersだけでは、仕入先との注文条件や発注承認の記録が十分でない場合があります。自社の担当分担に合わせ、次のように責任を分けると確認しやすくなります。
| 業務 | 基本となる記録 | 完了を確認する人 |
|---|---|---|
| 発注数量・単価の確定 | 発注書 | 発注担当・承認者 |
| 発注済みの記録 | 発注書 | 発注担当 |
| 出荷・到着予定の確認 | 発注書+移行台帳 | 発注担当 |
| 到着分の検品と在庫反映 | Transfers | 倉庫・店舗担当 |
| 拠点間の在庫移動 | Transfers | 出庫側・受入側 |
| 差異・破損・不足の処理 | Transfers+差異記録 | 在庫責任者 |
移行対象を機能名だけで列挙すると、必要な判断が埋もれます。各業務を3区分で判定してください。
発注書、仕入先情報、入荷に伴うTransfers、ロケーション間移動が現在の要件に収まるなら、まずShopify管理画面での運用をテストします。
標準機能を優先する利点は、在庫情報と日々の入出庫記録を同じ管理画面で確認しやすい点です。一方で、既存の帳票書式や発注ロジックまで同一になるとは限りません。テスト時には、必要な情報を画面または出力データで確認できるかを実務担当者が判定します。
自動移行されない旧履歴、取引先固有の連絡事項、切替中の発注残などは、台帳で一時的または継続的に管理します。
台帳で扱いやすいのは、次のような情報です。
台帳を恒久的な二重入力にする必要はありません。目的は、標準機能に入らない情報を明らかにし、将来も台帳でよいのか、別の仕組みが必要なのかを判断できる状態にすることです。
Shopify公式は、Transfersへの移行後も、Shopify管理画面では最小/最大在庫水準を設定できないと案内しています。仕様確認日:2026年9月4日。したがって、次の要件が発注業務の前提であれば、標準機能だけで満たせると仮定せず、外部ツールまたは自社台帳を比較対象にします。
外部ツールを選ぶこと自体が目的ではありません。たとえば発注点が数品目だけなら、当面は台帳で発注候補を確認するほうが、データ同期や権限設計、教育のコストを抑えられることがあります。反対に、発注量の算出が止まると欠品・過剰在庫の判断に直結する場合は、算出根拠、データ更新頻度、ロケーション対応を含めて要件化する価値があります。
移行台帳は、商品マスタのCSVとは別に用意します。目的はデータ保存の一覧ではなく、「誰が、何を使って、次の処理を完了するか」を可視化することです。
以下の列を用意すると、未決事項を見つけやすくなります。
| 列 | 記入内容 |
|---|---|
| 業務行 | 発注判断、PO作成、分割入荷、拠点間移動、棚卸しなど |
| 現在の記録場所 | Stocky、CSV、メール、紙帳票など |
| 切替後の記録場所 | Shopify発注書、Transfers、台帳、比較中の外部ツール |
| 引継ぎデータ | SKU、仕入先SKU、発注残、予定日、単価、履歴保存先 |
| 主担当/確認者 | 入力する人と承認・照合する人を分けて記載 |
| 完了条件 | 例:発注書番号が採番済み、60点受入後に在庫反映を確認 |
| 例外時の処理 | 分割納品、数量不足、破損、発注取消、仕入先変更 |
| 判定 | 標準で継続/台帳で補完/外部ツールを比較 |
| テスト結果 | 合格、不合格、保留とその理由 |
Stockyの履歴が自動移行されない以上、保存対象には過去の棚卸し結果や発注書も含めます。ただし、保存量を増やすことがゴールではありません。切替後に参照する可能性がある期間、照会する人、保存形式、アクセス権を決めます。
とくに、切替時点で開いている発注は優先度が高い項目です。発注書ごとに、発注日、未入荷数、予定日、仕入先への確認状況、次に確認する日を記録してください。これにより、「新しい発注か、旧発注の残りか」を担当者が判別できます。
Shopify上のSKUと仕入先が使う品番が異なる場合、入荷時の照合で迷いが生じます。商品名だけではバリエーション違いを判別しにくいため、移行台帳には少なくともShopify SKU、仕入先SKU、商品名・バリエーション、発注単位を併記します。
廃番、セット商品、仕入先変更中の商品は通常商品と分けて確認します。全SKUを同じルールで一括移行するより、例外品を先に抽出したほうが、初回発注・初回入荷の誤りを抑えやすくなります。
Shopify公式は、移行に際してデータ保存とチーム教育の必要性を案内しています。操作を知るだけでなく、自社の例外処理を誰が行うかまで確認します。
テスト対象は、本番に近い商品・仕入先を選びつつ、以下を含めます。実在の発注を使えない場合は、検証用の商品と仕入先で行い、終了後に不要な記録をどう扱うかも決めます。
この段階で重要なのは、処理件数を増やすことではありません。次の質問に担当者が答えられるかで合否を決めます。
不合格だった場合、直ちにアプリ導入へ進む必要はありません。入力項目の追加、台帳の列追加、責任者の明確化で解消するのか、発注点や予測のように機能要件が不足しているのかを分けます。この分離が、必要以上に複雑な移行を避ける判断材料になります。
初回テストを通過しても、仕入先ごとの納品パターンや繁忙期の発注量までは再現できないことがあります。切替後は、少なくとも最初の発注・入荷サイクルを対象に、移行台帳を見直します。
確認する項目は次のとおりです。
この結果をもとに、台帳を残す、Shopify標準運用に寄せる、外部ツールを比較する、という順に判断します。Stocky終了後の移行では、一つの画面で以前の全業務を再現することよりも、発注から入荷までの記録が途切れず、例外を処理できることが優先されます。
記事では答えきれない個別の状況にもお応えします。