欠品に気づいたのはお客様からの問い合わせが来てから。過剰在庫に気づいたのは決算のタイミングで倉庫代を見てから——在庫管理の問題は、日常業務の中では見えにくく、気づいたときにはすでに損失が出ていることが多いです。
私たちがご支援先の現場で在庫の状況を一緒に確認すると、「問題があることはなんとなく感じていたけど、どこから手をつければいいかわからなかった」というお声をよくいただきます。
典型的な失敗パターンを先に知っておくことで、早めに手を打てるようになります。5つに整理しましたので、ご自身の状況と照らし合わせてみてください。
ECサイトの在庫数と実際の倉庫在庫が手動で管理されている場合、更新漏れは必ずといっていいほど発生します。Amazon・自社EC・実店舗など複数チャネルで同じ商品を販売しているなら、この問題はさらに深刻になりやすいです。
ツールによる一元管理が最初の一手です。ネクストエンジン・CROSS MALLなどのマルチチャネル管理ツールは、各モールへの在庫反映を自動化し、更新漏れによる二重販売を防ぎます。
さらに出荷精度まで高めていくなら、WMS(倉庫管理システム)とJANバーコードスキャンの組み合わせが有効です。出荷のたびにJANコードをスキャンすることで、出荷数が在庫から自動減算され、帳簿と実在庫のズレがほぼゼロになります。誤出荷を防ぐ仕組みとして特に効果が高いのが、外箱の画像確認+JANスキャンの二重チェックです。作業者がまず外箱の画像で商品を目視確認し、次にJANスキャンで照合する——この二段階があることで、「似た商品を間違えてピッキングする」ミスをシステム側で防ぐことができます。
「売れたら発注する」という後手の運用をしていると、発注から入荷までのリードタイム(日数)の間に欠品が起きやすくなります。特に人気商品や売れ筋は、補充が追いつかないまま機会損失が続くことがあります。
商品ごとに最低在庫数(安全在庫)を設定し、それを下回ったら自動でアラートが出る仕組みを作ることをおすすめしています。Shopifyなどのカートシステムでも対応できることが多く、WMSを使っている場合はWMS側でリアルタイムの在庫連動アラートを設定できます。
食品・化粧品・健康食品など期限管理が必要な商品では、賞味期限・使用期限のアラート設定も欠かせません。「期限90日以内」「期限30日以内」といった段階でアラートを出す設定にしておくことで、期限切れ在庫の抱え込みと廃棄コストを減らすことができます。
年末年始や楽天スーパーSALEなどのプラットフォームセールは、需要が突発的に増加します。過去の同時期の販売データを参照した仕入れ計画がなければ、欠品か過剰在庫かのどちらかに必ずなります。
少なくとも前年同期の販売数を確認して、1.2〜1.5倍程度を目安に在庫を積む計画を立てることを習慣にされることをおすすめします。「なんとなく多めに仕入れた」ではなく、根拠のある数字から計画を立てることが、過剰在庫のリスクを減らすことにもつながります。
6ヶ月以上まったく動いていない在庫は、それ以降も動かない可能性が高いです。保管コストを払い続けながら放置するよりも、セット販売・バンドル・値引き処分などで早めにキャッシュに変える判断が、経営的には正解なことが多いです。
月次で「不動在庫リスト」を確認する習慣を作るだけで、在庫の健全性は大きく改善します。WMSを使っている場合は、最終出荷日を商品ごとに記録しているため、「○ヶ月以上動いていない商品一覧」を自動で抽出することができます。
これは見落とされがちですが、現場では実際によく起きる問題です。「商品の在庫はあるのに、段ボールが切れていて出荷できない」——梱包資材の在庫が尽きると、商品在庫がいくらあっても出荷がストップします。
段ボール・緩衝材・送り状・梱包テープなど、出荷に必要な資材ごとに発注点を設定し、在庫が一定数を下回ったら自動でアラートが出る管理体制を作ることをおすすめします。WMSでは、出荷完了のたびに注文サイズに応じた箱・送り状を自動で減算する設定が可能です。これにより、「気づいたら資材が底をついていた」という事態を防ぐことができます。
在庫管理の改善は「ツールを入れれば解決する」というものではなく、まず今の管理状態を可視化することから始まります。
リアルタイム連携・安全在庫設定・需要予測・不動在庫整理・梱包資材管理の5つを順番に整えていくことで、在庫トラブルは確実に減らせます。JANスキャンやWMSの導入まで見据えると、手作業のミスがなくなり、担当者の負荷も下がります。「どこが一番問題か」がわからない場合は、まず現状の在庫データを一緒に見るところから始めましょう。お気軽にご相談ください。
記事では答えきれない個別の状況にもお応えします。