企画は立てられる。数字も追えている。それでも実行フェーズになると他部署が動かず、施策がそのまま止まってしまう——ECマネージャーの方からこのご相談をいただくことは、本当に多いです。
これはEC担当者の力不足でも、他部署の怠慢でもないことがほとんどです。根本的な原因として私たちがよく見るのは、EC部門が社内において「費用対効果が見えにくい部署」と認識されていることです。物流・CS・ITといった部署は、それぞれに自分たちの優先業務を抱えています。そこに「ECの施策のために動いてほしい」という依頼が来ても、なかなか優先度が上がらないのは、ある意味では自然なことです。
では、どうすれば動いてもらえるのか。私たちが現場で試してきた3つのアプローチをお伝えします。
他部署に動いてもらうために最も効果的なのは、相手の業務がどう楽になるか・どう成果につながるかを先に示すことです。
「ECのために協力してほしい」という依頼のままでは、相手にとってのメリットが見えません。たとえばCSチームへの依頼なら「この施策が通れば問い合わせ件数が月100件減ります」という試算を先に提示する。物流チームなら「出荷作業の平準化につながります」を伝える。ECの利益ではなく、相手の利益から話し始めることが出発点です。
この準備を怠ると、どれだけ正論を言っても動いてもらいにくくなります。逆に「あなたたちにもメリットがある」という設計ができていれば、驚くほどスムーズに動き始めることがあります。
「承認をもらいに行く」という構図になると、相手に拒否権が生まれます。ハンコをもらうまでの間に、何度も差し戻しや条件追加が発生して、施策が形骸化してしまうことも少なくありません。
代わりに「こう進める予定ですが、問題ありますか?」という確認ベースで動かすと、摩擦が大幅に減ります。もちろん、権限の範囲内で動ける場合に限りますが、「事前報告→進める→結果報告」のサイクルを小さく回し始めることで、実績が積み上がり、だんだん動きやすくなっていきます。
最初の一歩は小さくて構いません。承認なしでも動ける範囲のことから始めて、成果を見せることが、次の大きな施策を動かす土台になります。
他部署がなかなか動かない根本的な原因の多くは、ECの重要性が経営層から明確に発信されていないことにあります。ECマネージャーがどれだけ正しいことを言っても、現場レベルだけでは動かないケースが多いのです。
月に一度でいいので、ECの数字を経営者に報告する場を作ることをおすすめしています。そこで「物流との連携が現状のボトルネックになっています」「CSとの情報共有を改善したいのですが、仕組みを整える時間をいただけますか」と伝えると、経営者からトップダウンで動くことが多くなります。
この「経営者を巻き込む」というルートを持っているかどうかが、EC施策の推進力を大きく左右します。経営者との定例の場がないなら、まずそこを作ることが先決かもしれません。
社内を動かすには、正論よりも「相手の立場に立った設計」と「経営層からの後押し」が効果的です。
「なぜ動いてくれないのか」と悩む前に、相手にとってのメリットが見えているか、経営層が味方についているか、という2点を確認してみてください。仕組みとして動く状態を作ることこそが、ECマネージャーとしての本来の仕事だと私たちは思っています。
「どうしても社内の壁を越えられない」という状況が続いているなら、外部から状況を整理するお手伝いができることもあります。お気軽にご相談ください。
記事では答えきれない個別の状況にもお応えします。