「広告費を増やしても売上が上がらない」「担当者を変えても状況が変わらない」——こうした悩みを抱えてご相談にいらっしゃる経営者の方は、非常に多くいらっしゃいます。
そのような状況で多くの方が最初に疑うのは「施策が悪い」か「担当者の力不足」です。しかし実際の現場を一緒に見ていくと、問題の根っこは施策レベルではなく、もっと上流の構造にあることがほとんどです。
担当者やエージェンシーを変えてもなかなか改善しないときは、経営の仕組みそのものに目を向けてみることが重要です。私たちがよくお伝えする3つの構造問題を、順番に見ていきましょう。
広告費を増やせば一時的に売上は伸びます。しかしリピート率が低く、新規獲得コスト(CPA)が年々上がっているなら、それは商品力または顧客体験に問題があるサインです。
広告はあくまで「すでに欲しいと思っている人に届ける」ためのツールです。「欲しくない人を欲しくさせる」ことはできません。商品の強みが明確でなければ、どれだけ広告費を積んでも、穴の開いたバケツに水を注ぎ続けることになります。
まず確認していただきたいのは、**2回目以降の購入率(リピート率)**です。業種にもよりますが、20%を大きく下回るようなら、商品や購買体験の見直しが広告費の増加よりも先の課題かもしれません。広告の手を緩める必要はありませんが、そちらに投資する前に根本を整えることが長期的に見て確実に有効です。
ECが「誰かの兼務」になっている会社では、施策のPDCAがなかなか回りません。分析・施策立案・実行・改善のサイクルを継続するには、相当の時間と集中力が必要で、それは片手間でできるものではないからです。
また、専任担当がいたとしても、広告予算の変更・ベンダー選定・カートリプレイスなどの意思決定に都度経営者の承認が必要で、そこで動きが止まってしまうケースも多く見てきました。
現場担当者が「やりたいことはあるのに動けない」という状況は、組織にとっても大きな機会損失です。現場への権限委譲と、判断基準の言語化——この2つを整えるだけで、EC施策のスピードは大きく変わります。
売上は結果として出てくる指標です。売上だけを追いかけてしまうと、現場は「何をすれば売上が上がるか」ではなく、「売上が上がらないときにどう説明するか」を考えるようになってしまいます。
経営者がECに持つべき視点は、売上の前段階にある数字です。セッション数・CVR(購入転換率)・客単価・リピート率・LTV(顧客生涯価値)——これらのどこに問題があるかを把握することで、初めて打つべき施策が見えてきます。
たとえば「セッションは十分あるがCVRが低い」なら商品ページやカートのUI改善が優先です。「CVRは悪くないがリピートが取れていない」なら購入後のコミュニケーション設計が課題です。売上という一つの数字だけを見ていると、こうした原因の特定がなかなかできません。
EC売上の伸び悩みは、担当者の問題である前に、経営の仕組みの問題であることが多いです。「施策を増やす」前に、体制・権限・目標設定の3つを見直してみてください。
「なぜ売上が上がらないのか、原因がはっきりしない」という状況は、実はよくあることです。一緒に数字を整理するところから始めることで、どこに手を打てばいいかが見えてきます。ぜひ一度、現状をお聞かせください。
記事では答えきれない個別の状況にもお応えします。